怒りの感情をコントロール!「過剰保障モード」という心の壁を壊す方法
「どう考えても自分は悪くないのに、なぜかいつもイライラしてしまう」「ついカッとなって高圧的な態度を取ってしまう」。
そんな時、あなたの心の中では「スキーマモード」という心の対処法(コーピングモード)が強く働いている可能性があります。
特に、怒りの問題を抱える人が陥りやすいのが「過剰保障モード」です。
これは、自分の核となるスキーマ(信念・考え方)が脅かされたと感じた時、過剰に自分を守ろうとして発動する心の防衛システムです。
自分を守る「過剰保障モード」は2種類ある
過剰保障モードは、その行動パターンによって大きく2つに分けられます
一つ目は、自分が優位であることを誇示する「自尊自大モード」です。
このモードの人は、常に他人からの賞賛を求め、議論で相手を言い負かそうとしたり、高圧的な態度を取ることで自分の価値を誇示しようとします。
「どいつもこいつも仕事のできないやつばかりだ」「俺が30歳の時は全国トップの売上だったんだぞ」といった言動がその典型であり、社会的地位や成果に強くこだわる傾向があります。
二つ目は、他人を攻撃して自分のプライドを守る「いじめと攻撃モード」です。
自分の欲求が満たされない状況に耐えられず、相手を攻撃し、従わせようとします。
「あなたなんかと結婚したのが間違いだった」「男のくせして何でこんなにだらしないの。幼稚園からやり直した方がいいんじゃない?」といった言葉が例として挙げられます。
表面化しているのは怒りですが、その内側には「愛されたい」「大切にしてほしい」という傷ついた感情が隠されています。
「過剰保障モード」は幼少期の経験から形成される
この「過剰保障モード」は、生まれ持った性格のせいではありません。
多くの場合、幼少期の体験を通じて身についた対処法です。
例えば、「常に高い成果を求められ、条件付きの愛情を示す親に育てられた」といった経験があると、このモードが強くなることがあります。
これは、自分の欠点を認めると愛されない、価値がないと感じるスキーマの正しさを証明しようとする態度から生まれます。
例えば、「仕事は完璧にこなすべきだ」というスキーマを持つ人が不真面目な同僚を激しく責め立て、失敗について謝罪させるのは、「自分の考えこそが正しい」と自説の正しさを証明しようとする過剰保障モードが働いている状態です。
怒りの暴走を止める!「モードに気づく」という第一歩
怒りが湧いてきた時、その場で冷静さを取り戻すための最も大切なステップは、「今、自分を守ろうとするモードが働いている」と気づくことです。
この気づきがあるだけで、反射的な暴言や攻撃的な行動を一瞬立ち止まり、止めることに繋がります。
あなたの心の中のスキーマが脅かされそうになった時に、他人のミスを過度に責め、自分の成功体験を語り、相手を論破しようとする「自尊自大モード」になっていないか、あるいは自分の思い通りにならない時に、愛する人に対して暴言や強い口調で接してしまう「いじめと攻撃モード」になっていないか、自分自身に問いかけてみましょう。
親密な関係を築くために。壁をなくし、モードを変えよう
怒りの背後には、「懲罰的ペアレントモード」や「要求的ペアレントモード」といった、自分を罰したり高すぎる要求を課したりする“心の中の親”のような存在が関係していることもあります。
しかし、大切なのは過去を責めることではなく、これからの行動を変えることです。
過剰保障モードという「心の壁」をなくしていくことで、あなたは人と親密で健全な関係を築くことができるようになります。


